愛情
子供が受けるさまざまなストレスについて
学校だけでなく塾や習い事にも忙しかったり、友達付き合いもあったりと、子供はストレスを抱えていることも多いものです。ストレス自体は悪いものとばかりは限りませんが、過度な不安や人間関係の亀裂は子供に悪影響を与え、心のバランスはおろか実際の体調をも崩してしまうことにつながります。そうした子供のストレスに大人はどのように対応すれば良いのでしょうか?
子供がストレスを受けているときに現れる代表的なものが腹痛です。子供が学校や幼稚園、保育園に行く朝などに腹痛を起こすことがありますが、その場合に病院で診てもらったとしても原因がはっきりしないことが多くあるものです。
腹痛が学校や幼稚園に行きたくないための嘘だったとしても、そういった嘘をつくことになった状態が問題。腹痛のほかに体に不調が現れていないかのチェックも必要です。
体調の変化
例えば、ストレスによる腹痛以外の子供の体調の変化として挙げられるのは次の通り。精神的に不安定になると症状が重くなることもあるので注意しましょう。
- 頭痛
- 下痢
- 睡眠障害
- 喘息
- アトピー性皮膚炎
精神的な変化
ストレスを受けたときの性格の変化も、荒れたり内向的になったりとさまざまです。反抗期や思春期の最中であったり、性格にもよるかもしれませんが、特に浮き沈みが激しいなど情緒不安定である場合には過度なストレスを受けていないか、細心の注意を払いましょう。例えば、子供に次のような特徴が現れているときには要注意です。
- イライラしている
- 怒りっぽい
- 元気がない
- 集中力ややる気が低下している
行動の変化
普段とは異なる行動が見られるときも強いストレスを受けている可能性があります。次のようにいつもと違った行動が見られないか大人が気を付けてあげなければなりません。
- 赤ちゃん返り
- すぐ泣く
- よくケンカをする
- 吃音が見られる
- 引きこもり
太る、もしくは痩せる(拒食症や過食症の疑い)
子供がストレスによって腹痛を始めとした身体的な異変を見せた場合には、精神的な症状や行動をよく観察し、子供の話をよく聞いてあげることが大切です。
愛情不足
子供の成長のために何より一番大切なのが『愛情』。心だけではなく、実は子供の体の成長にも両親からの愛情が大きく関わっています。両親からの愛情が十分でなかったり精神状態が不安定になると、脳下垂体の成長ホルモンの分泌量が減少してしまいます。
ことさら重要なのが子供とともに長い時間を過ごすことになる母親からの愛情。母親からの愛情が十分でないと子供は「母性剥奪症候群」と呼ばれる症状に陥ってしまい、身長が伸びにくくなるなどの悪影響が見られるようになります。
さらに親からの愛情が受けられないままで過ごしていると、子供は「愛情遮断性低身長」という症状も引き起こします。これは家庭内に虐待などの問題がある際、親の愛情を十分に感じられない子供が精神的なストレスから成長を阻まれてしまう病気です。その名の通り愛情不足により身長が低いまま止まってしまうことを意味します。
子供は意外と親のことをよく見ているものです。子供が伸び伸びと楽しく過ごせるように、親は愛情にあふれた明るい家庭を築くよう心がけましょう。
家庭内
子供にとって最も安心できるはずの家庭。そんな家庭の中で子供がストレスを感じてしまう場合もあります。よく見られるケースが家庭環境の変化によるもので、引っ越しや両親の離婚、父親の単身赴任などがそれにあたります。子供が新しい環境になかなか適応できないと大きなストレスを感じ、食欲不振や睡眠障害に陥り成長ホルモンの分泌が悪くなることがあります。
ほかにも兄弟げんかや親からのプレッシャーもストレスの原因となります。「年上なのだから」と叱ったり我慢を強いたり、兄や姉と下の子を比べることも、子供の心を傷つけます。また、塾や習い事で思ったような結果が得られなかったとき、励ますつもりで「もっとがんばりなさい」などと親が言うと子供は追い詰められてしまいます。
子供にとってどんなにプラスになることであっても、強制するのは逆効果。返ってストレスとなり子供の成長を妨げてしまいます。子供の性格を理解して、その子に合った言葉ややり方で接してあげることでやる気を引き出すことができます。
両親の不仲
家庭内では両親の不仲も子供の成長に影響を与えてしまいます。頻繁に夫婦げんかをしていると子供は情緒不安定になり、成長ホルモンの分泌が妨げられてしまうのです。これは、両親のけんかによって子供自身も身の危険を感じるため、自分の身を守れるように早く大人になりたいという本能が働き、「思春期早発」と言って思春期を迎えるのが早まる傾向があります。ただし、これは心の成長で、体のほうの成長が追いつかないために骨が固まり、そこで身長が伸びなくなってしまうのです。子供がリラックスして過ごせる家庭を築くためにも、夫婦が協力して子育てできるような家庭を目指しましょう。
しかし、ときには離婚という選択肢を選ばざるを得ない場合もあるものです。近年では親の離婚率や再婚率も増加しており、親の離婚や再婚が子供へ大きなストレスを与えています。親自身が子供のストレスになっている場合、子供は自分が抱えている不安や悩みを打ち明けられない状況に陥り、捌け口を失うこととなります。
学校や部活
大人から見ると狭いように見える学校という社会も、子供にとっては生活の大半を占める大きな存在です。そんな学校生活の中でも特に多いのが友人関係の悩みやストレス。例えば、仲間はずれにされたくなくて無理をしているケースなどがそれにあたります。友達が持っているゲームを自分も持たなければと思い込んだり、みんなが見ているからと言って夜更かしをしてテレビ番組を見たり。
ほかにも、授業中にクラスメートの前で教師に怒られ、恥ずかしい思いをすることもストレスになります。もちろん適切な指導であればそれは心の糧となりますが、大人が投げかけた心ない発言は子供の自尊心を傷つけ、ときとしていじめの原因になることも。
また、部活動の場も先輩や顧問から挨拶や掃除を任されたり、ときには厳しく指導されたりもするでしょう。運動部の子供であれば、背が低いためにレギュラーになれないなど、余計に心を傷めることもあります。こうしたことは子供が話してくれない限り、親は気づけません。日頃のコミュニケーションを大事にし、ちょっとしたことでも話してくれるような関係が理想です。